剣と盾 第4話


自分は英雄として、戦争のない世界を作るため人々を導いてきたのだから、その経験を生かして、この世界でも未来を作り変える。
それが思い上がりだと、すべてのレールが用意され、有能な協力者が回りを固めていたからこそ、英雄ゼロでいられたのだと気づくのにそう時間はかからなかった。
まずどうすればいいのか。
ゼロとして指導者に立場になった経験を…という考えが、そもそも甘かった。指導者なんて聞こえはいいが、実際はただの人形だ。
ルルーシュが考え残した政策を、自分が考えたことのように振る舞い進言する。先の先をも見通した、予言といってもいいほどのものをルルーシュは残してくれていた。多少誤差は出るものの、それらシュナイゼルが微調整する。予定になかったことは、シュナイゼルがゼロの思想に合わせた策を作る。
今は亡きルルーシュとシュナイゼルが考える事を、ただ実行するだけ。
多少自分の意思による発言をしても、シュナイゼルと、時にはカグヤとナナリー、星刻がサポートしてくれたので、なにも問題は起きなかった。
つまり、サポートなしではろくな策を思いつけないし、皆が発言を聞いてくれたのは、数々の奇跡を起こした正義の味方ゼロの言葉だったからだ。
イレブン。いや、名誉ブリタニア人であるクルルギスザクという人間の言葉など誰も聞かないし、聞いたとしても採用されることなどない。差別なくなったあの時代を生きていたせいか、人種差別がどれほどひどいものだったのか失念していた。
セシルとロイドは話を聞いてくれるがそれだけだった。
戦争のない平和というのは、世界はブリタニアを否定するということだ。
侵略戦争を仕掛けているブリタニアが戦争をやめ、植民地を解放するなどありえない。
人は平等だと、強者は弱者を守るものだと主張するなら、それは皇帝シャルルの思想を否定するということ。主義者の思想であり、反ブリタニア勢力の思想だ。それをブリタニア軍に属するロイドとセシルが肯定するはずがない。逆に、そんなことを口にすれば、ランスロットのデバイサーから外される事になると注意をされる。 もし、純潔派の耳に入れば、粛清の対象となる。
せっかく軍事法廷で裁かれずにすんだのに、今度はあ時とは違い濡れ衣ではなく、反逆の意思をスザク自身がもっているため、間違いなく有罪となる。前だってたすけられなかったのだ。今回も庇いきれるはずがない。ゼロレクイエムでは協力者であっても、今は違う。未来のように、こちらに全面協力などしてはくれなのだ。
そもそも、スザクの考えは荒唐無稽で道筋が不明瞭だから、夢物語の域をでないのだから、まともに聞いてすらもらえていない。頭の回る二人の科学者を納得させ話術などスザクな持ち合わせていなかった。

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